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出典元:プレスリリース

「採用しても定着しない」中小企業が選ぶBPOという”第3の選択肢”――事務代行依頼が前年比5倍に

「採用」でも「DX」でもない—人手不足に悩む企業が見出した新たな解決策

オンラインでの見積もり比較・受発注サービス「ミツモア」を運営する株式会社ミツモアは、2023年10月〜2025年9月に人手不足が深刻な7業界(サービス/医療・福祉/飲食/運輸・物流/建設・工事/小売・卸売/製造)の中小企業から寄せられた、主要BPOサービスへの依頼データをもとに、最新動向を発表した。

背景

日本では、少子高齢化と労働人口減少により、多くの業界で深刻な人手不足が続いる。 特に医療・福祉、建設、運輸・物流、飲食といった現場人材が不可欠な業界では、採用難が経営課題の上位を占めている。

こうした状況下で、中小企業が選択する解決策に変化が見られている。従来の「人を増やす(採 用)」「システムを入れる(DX化/IT投資)」に加えて、「業務そのものを外部に任せる(BPO)」という第3の選択肢が急速に拡大している。

ミツモアの調査では、人手不足が深刻な7業界の中小企業において、主要BPO10サービス(事務代行、コールセンター代行、テレアポ代行、経理代行等)の依頼は、前年同期比で全体として約1.5倍に増加した。

「事務代行」の依頼数が5倍と、主要BPOサービスの中でも突出

BPOサービス別に見ると、特に「事務代行」の伸びが顕著で、前年比約5倍(516%)となった。 次いで「コールセンター」が約3倍、「テレアポ」が約2.8倍、「経理代行」が約2.3倍と、いずれも大 幅に増加している。

依頼の「質」にも変化――「退職者が出て1ヶ月で引き継いでほしい」

オンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ assistant」を提供する株式会社キャスターの寺師侑希氏によると、依頼内容にも顕著な変化が見られるという。
「極端なケースでは、『退職者が出て1ヶ月で引き継いでほしい』『既存社員の残業が深刻で早急な体制整備が必要』といった緊急度の高い相談が増えています」
人手不足への構造的な対策として、BPOを位置づける企業が増えていることを示唆しているといえるだろう。

医療・福祉業界で事務代行の需要が急増――「働き方改革」と事務負担のジレンマ

事務代行の依頼を業界別に見ると、医療・福祉業界での増加が特に顕著だ。事務代行依頼は、前年比で約10倍(933%)の伸びを見せた。
医療・福祉業界は、2024年4月の「医師の働き方改革」施行、介護報酬改定、診療報酬改定など、制度変更が相次いだ。現場の医療・介護スタッフの労働時間上限が厳格化される一方で、事務作業の負担は減らず、むしろ複雑化しているのが実態だ。

外注したい業務TOP3は「給与計算」「経理記帳」「勤怠管理」

医療・福祉業界の中小企業が事務代行で依頼したい業務の上位を占める「給与計算」「経理記帳」「勤怠管理」に共通するのは、「24時間シフト制」「介護保険・診療報酬請求(レセプト)」という医療・福祉業界特有の複雑さだ。

なぜ医療・福祉の事務は複雑なのか?

医療・福祉業界の事務作業は、他業界と比べて以下の特殊性がある。

24時間シフト制による勤怠管理の煩雑さ

夜勤、早番、遅番、宿直など、複数のシフトパターンが存在し、労働時間の集計が複雑。さらに「働き方改革」により時間外労働の上限管理が厳格化され、事務負担が増大。

介護保険・診療報酬請求(レセプト)業務

毎月の保険請求業務は、専門知識が必要なうえにミスが許されない。しかし、専門人材の確保が難しく、既存スタッフへの負担が集中。

頻繁な制度変更への対応

介護報酬・診療報酬は2年〜3年ごとに改定され、そのたびに事務処理のルールが変わる。

なぜ今、中小企業は「BPO」を選ぶのか――人手不足時代の構造的変化

ミツモアの調査で明らかになったBPO需要の急増。その背景には、日本社会が直面する構造的な課題と、従来の解決策が難しくなっている背景がある。
株式会社キャスターへのインタビューから、企業の選択肢がどのように変化しているのかが見えてきた。

「採用」の限界――「採用しても定着しない」 現実

株式会社キャスターの寺師氏によると、採用・育成で苦戦してきた企業からの相談が多いという。
「『欲しい人材が採用できない』『求人を出しても応募が来ない』『採用できても、育成に時間がかかり、定着までに至らない』――そうした声をいただくことが多いです。さらに、採用には求人広告で数十万円以上、人材紹介なら一般的に年収の約30%もの費用がかかります。育成やマネジメントの負担、急な欠勤で業務が止まるリスクも無視できません」
生産年齢人口の減少と、働き方改革による人件費高騰が同時進行するなか、中小企業にとって採用は以前にも増してハードルが高くなっている。

従来手法の限界――派遣・システム導入だけでは補えない領域

従来の解決策である派遣やDX化にも、課題があるといいます。

派遣の課題
「派遣社員の場合、その方個人に業務が依存しやすく、契約満了や法律上の期間制限によって担当が変わるたびに、企業側で再度の引き継ぎが必要になります。また、急な体調不良などで不在になると、業務の継続が難しくなるケースもあります」(株式会社キャスター・寺師氏)

システム導入の課題
「『システムを入れようと思ったが、社内で使いこなせる人がいない』という声も多く聞きます。また、システム導入は準備や定着までに時間を要し、半年以上かかることも珍しくありません」(同氏)

属人化の問題やIT人材の不足は、人手不足が深刻化する中で、特に中小企業にとって大きなリスクとなっている。

もう一つの背景――ゼロゼロ融資の返済開始

同社マーケティング部では、BPO需要拡大の背景として、コロナ禍の影響も指摘する。
「コロナ禍で実施されたゼロゼロ融資の返済本格化も背景のひとつと考えられます。返済負担が重くなる中、採用や人件費に投じられる予算が限られ、『採用したいものの、従来の条件では難しい』という声もあります」

2025年10月に発表された帝国データバンクの調査によると、ゼロゼロ融資を利用しながらも倒産に至ったケースは、3年連続で高い水準で推移している(2022年~25年の1月~6月期における数値)。また、新型コロナ関連融資の返済に不安を感じている企業は、調査開始以降で最も高くなったという。

※BPO(Business Process Outsourcing) とは
企業の業務プロセスを専門事業者に委託するサービス。人材派遣とは異なり、業務そのものを委託するため、企業側のマネジメント負担が少なく、担当者の急な欠勤でも業務が止まらないなどの特徴がある

※ゼロゼロ融資とは
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者を支援するため、2020年から実施された実質無利子・無担保の融資制度。据え置き期間が終了し、2023年以降、多くの中小企業で返済が本格化している
参考:新型コロナ関連融資に関する企業の意識調査(2025年8月)|帝国データバンク

「第3の選択肢」が広がる背景――コロナ後の働き方の変化

 寺師氏は、BPOという選択肢が広がった背景として、コロナ禍による働き方の変化を挙げる。

「コロナ禍で一時的に依頼が減少しましたが、その後の回復期に依頼が大きく伸びました。リモートワークが世の中に浸透したことで、『外部に委託する』という選択肢が広まっていったのだと考えられます。さらに直近1〜2年では、生産年齢人口の減少、採用難、働き方改革に伴う人件費の上昇などが複合的に重なり、『採用以外の手段を柔軟に活用しよう』という考えが浸透してきているように感じます」

「採用」「DX」「BPO」という選択肢を、企業が状況に応じて使い分ける時代になりつつあると言えるだろう。

中小企業がBPOを選ぶ4つの主な理由

① 即時性:「今すぐ」課題を解決したい
採用には数ヶ月、システム導入には半年以上かかることも珍しくない。一方、BPOなら最短で数週間で業務を委託できるため、「待てない」企業にとって現実的な選択肢となる。

② 確実性:採用失敗・システム定着失敗のリスク回避
せっかく採用しても早期離職されたり、高額なシステムを導入しても社内に定着しなかったりするリスクがある。BPOなら、プロに任せることで「確実に業務が回る」安心感がある。

③ 柔軟性:繁閑に応じて調整できる
年度末の繁忙期だけ、特定プロジェクトの期間だけ、といった柔軟な依頼が可能。固定費としての人件費を抱えずに済むメリットがある。

④ 本業への集中:コア業務にリソースを集中させたい
医療現場であれば「患者ケア」、建設現場であれば「現場作業」こそが本業だ。事務作業に貴重な人材の時間を奪われるよりも、外部に任せて本業に集中したいという経営判断だ。

今後の展望

今回の調査から、人手不足が深刻な業界の中小企業において、BPOが「採用」「システム導入」 に次ぐ第3の選択肢として急速に浸透していることが明らかになった。
特に医療・福祉業界では、制度改正と人手不足のダブルパンチにより、事務負担が限界に達している。今後も、医療・介護の現場を支える「見えない事務作業」を外部の専門家が担う流れは加速すると予想される。
また、BPOサービス市場全体の拡大に伴い、より専門性の高いサービス(例:医療特化型の事務代行、建設業向けの書類作成代行など)も増加していくことも考えられる。

調査概要

・比較期間①:2023年10月〜2024年9月
・比較期間②:2024年10月〜2025年9月
・調査件数:8,808件
・調査対象業界:人手不足が特に深刻な以下7業界の中小企業
・サービス業(従業員100人以下)
・医療・福祉(同300人以下)
・飲食(同300人以下)
・運輸・物流(同300人以下)
・建設・工事(同300人以下)
・小売・卸売(同100人以下)
・製造業(同300人以下)
※各業界における中小企業の定義は中小企業庁の「中小企業・小規模企業者の定義」に基づき、便宜上従業員数のみを考慮している(資本金などの要素は考慮しておりません)
・調査対象サービス:ミツモアで取扱のある主要BPO10サービス
 SNS運用代行サービス
 Web広告運用代行
 電話代行サービス
 コールセンター代行
 テレアポ代行
 営業代行
 給与計算アウトソーシング
 経理代行
 採用代行(RPO)
 事務代行
調査元:https://meetsmore.com/product-services

出典元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000092.000026519.html

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