時短勤務とは、1日の所定労働時間を通常よりも短縮した働き方のこと。育児や介護を理由にフルタイムで働くことが難しい人たちがワークライフバランスを保つための支援として策定されています。この記事では、時短勤務制度を取得できる対象要件や利用期間、時短勤務時の給与計算の方法についてご説明します。
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時短勤務制度とは
時短勤務(短時間勤務)とは、1日の所定労働時間を短縮して働く制度で、一般的には所定労働時間を原則「1日6時間」とする働き方を指します。
この制度は育児・介護休業法に基づき、労働者が「仕事か育児・介護か」を選択するのではなく、仕事と家庭生活を両立できるよう支援することを目的として設けられています。
近年は働き方改革の進展によりワークライフバランスへの関心が高まり、子育てや家族の介護と仕事を両立しながら働き続けられる環境づくりの重要性が一層高まっています。時短勤務は、こうした多様な働き方を実現するための代表的な制度のひとつといえるでしょう。
時短勤務制度は雇用形態を問わず、一定の要件を満たせば利用できる制度です。育児・介護それぞれの対象要件を理解し、自身の状況に応じて適切に活用していきましょう。
育児による時短勤務の対象要件
育休明けが近づいてくると、復職後にうまく両立できるか不安を感じる方も多くいることでしょう。ここでは、育児のため時短勤務を適用する際の対象要件についてご説明します。
【育児による時短勤務の要件】
・3歳未満の子どもを養育していること(※1)
・1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
・日々雇用される者ではないこと
・時短勤務の適用期間に、現に育児休業(産後パパ育休を含む)をしていないこと
・労使協定により適用を除外される労働者ではないこと(※2)
(※1)育児・介護休業法の改正により、2025年10月以降は「3歳以上小学校就学前の子」を養育する労働者について、事業主は短時間勤務制度を含む柔軟な働き方の利用意向を個別に確認し、就業継続に向けた措置を講じることが義務付けられました。なお、3歳未満の子を対象とした短時間勤務制度の導入義務とは異なり、制度そのものの適用が一律に義務化されたものではありません。
(※2)労使協定により時短勤務の適用を除外される労働者
・その事業主に継続して雇用された期間が1年未満の労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
・業務の性質上、時短勤務の適用が困難とされる労働者
また、時短勤務の適用が困難とされる労働者の場合、企業には以下のような代替措置を取ることが求められます。
・育児休業に関する制度に準ずる措置
・フレックスタイム制度
・始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げ
・保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与

介護による時短勤務の対象要件
要介護状態にある家族のいる従業員も時短勤務の対象です。ここでいう家族とは、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫を指します。
また、要介護状態とは「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」と定義されています。必ずしも介護認定や医師の診断書の提出が求められるものではありません。
【介護による時短勤務の要件】
・要介護状態にある家族を介護していること
・日々雇用される者ではないこと
・時短勤務の適用期間に、現に介護休業をしていないこと
・労使協定により適用を除外される労働者ではないこと(※3)
(※3)前項「育児による時短勤務の対象要件」の記載事項(※2)と同じ
介護がありながらも時短勤務の適用が困難とされる業務に従事する労働者の場合、企業側は以下のような代替措置を取ることが求められます。
・フレックスタイム制度
・始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げ
・労働者が利用する介護サービス費用の助成その他これに準ずる制度

▼2025年4月・10月に介護・育児休業法が改正されています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
時短勤務はいつまで取れるの?
時短勤務の適用要件を育児、介護に分けてご説明してきました。では、時短勤務は実際‟いつまで”取得することができるのでしょうか。この項では、育児と介護それぞれの取得期間についてご説明します。
育児を理由とする時短勤務の期間
「3歳に達する日」までが法律上の適用期間
育児・介護休業法では、対象の子どもが「3歳に達する日」までの期間を育児時短勤務の適用期間と定めています。つまり労働者は「子が3歳になる誕生日の前日」まで、事業主に対して時短勤務の利用を申し出ることが可能です。
この期間については、事業主に短時間勤務制度を整備する義務が課されており、対象となる労働者から申出があった場合、原則として利用できるようにしなければなりません。
「3歳〜小学校入学前」は意向確認と柔軟な働き方への対応
2025年10月施行の育児・介護休業法改正により、「3歳以上小学校就学前」の子を養育する労働者に対する支援内容が見直されました。従来は、この期間における短時間勤務制度の導入は企業の‟努力義務” とされていましたが、改正後、「事業主は労働者の働き方に関する個別の意向確認を行い、短時間勤務制度を含む柔軟な働き方の措置を講じること」が義務付けられています。
なお、この改正は短時間勤務制度そのものの導入を一律に義務化するものではありません。企業は、短時間勤務制度のほか、始業・終業時刻の変更、テレワークなど、労働者の状況に応じた措置を選択できるように対応することが求められます。
子どもが小学校へ入学したからといって子育てが終わるわけではありません。核家族化の進行などによりフルタイム勤務が難しいケースも多く、企業が独自に就業規則で時短勤務制度を拡充している例も増えています。こうした取り組みは、従業員の働きやすさ向上だけでなく、離職防止や人材定着にもつながるといえるでしょう。
フレックスタイムの検討
フレックスタイムとは、一定のコアタイムを除いて、出勤・退勤の時間を自由に選択して勤務できる制度のこと。
家庭生活と業務との調和を図りながら効率的に働くことができるため、子育て中の従業員への働きやすい環境整備としてフレックスタイム制度を導入している企業は数多くあります。子どもの送迎や習い事、学校行事など成長段階に応じて変化するスケジュールに合わせて柔軟に働くことができます。親が仕事に集中しながらも、子どもとの貴重な時間も有効に使える仕組みといえますね。
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介護を理由とする時短勤務の期間
3年以上の期間で、2回以上取得可能
介護を理由とする時短勤務については、育児の場合のように「○歳まで」といった年齢による取得期限は定められていません。ただし、育児・介護休業法では、「対象家族1人につき、利用開始の日から連続する3年以上の期間において、2回以上利用できる制度を設けること」が事業主に義務付けられています(※4)。
介護をしながらの働き方は個人の事情によりさまざまです。介護が必要な限り、間に「介護休業(※5)」を挟みながら時短勤務を選択する場合もあるでしょう。そのため企業ごとに、対象となる従業員に対し、その事情に応じて柔軟に対応することが多いようです。
(※4)出典:厚生労働省「介護休業制度 短時間勤務等の措置」
(※5)「介護休業」:対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として分割して取得できる休業制度
出典:厚生労働省「介護休業について」
介護と仕事のバランスを考えよう
介護を必要とする家族がいる場合、仕事と介護の両立は容易なことではありません。介護と仕事のバランスは個人や家族の状況によって異なるため、企業によっては柔軟なシフト体制やフレックスタイム制、在宅勤務の導入など、さまざまな勤務形態を整備している場合もあります。
介護する人自身が無理をして体調を崩したり、介護離職となってしまう前に、上司や人事部と相談しながら最適な働き方を模索することが重要です。大切な家族との時間を守りながら仕事にも全力を注ぐために、時短勤務の活用を検討してみましょう。
時短勤務で給与計算はどうなるの?
時短勤務そのものは法律上の制度として義務づけられていますが、給与の減額等について決まりはありません。時短勤務期間の給与については、各企業ごとに就業規則で定められていることが一般的です。
給与支払いは、ノーワーク・ノーペイが原則です。そのため、労働時間に応じて給与が支払われる会社では、時短勤務分の給与は減給されるケースがほとんどです。一方、労働時間ではなく、歩合制のように出来高給の場合では、時短勤務を取得しても給与が変わらないこともあります。
時短勤務時の給与計算の方法
時短勤務にすると、一般的に給与はどのぐらい減額されるのか、労働時間に応じてシミュレーションしてみましょう。
例えば、基本給25万円、所定労働時間1日8時間の社員が、時短勤務制度を利用し6時間勤務とした場合です。1日当たり2時間の労働時間短縮により、基本給は所定労働時間の75%になります。次の計算式に当てはめて計算してみます。
基本給 ×(実労働時間 ÷ 所定労働時間) = 時短勤務時の給与額
25万円 ×( 6時間 ÷ 8時間 )= 187,500円
残業、各種手当への影響
残業手当(時間外勤務手当)は、所定の労働時間を超えた分に対し支給されるものです。
時短勤務の場合、残業時間も相応に減少することを考慮に入れましょう。また、扶養手当、通勤手当、役職手当といった各種手当については、その内容に応じて満額支給されるか、個々に算出するのか異なってきます。企業によっては時短勤務による給与や残業への影響について特別な補償を設けていることもあるため、社内規定をよく確認しましょう。
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時短勤務導入による企業側のメリット・デメリット
時短勤務は法律によって制度の実施が義務づけられる一方、努力義務の範囲については、従業員の働きやすさ向上のため独自の制度を運用している企業も少なくありません。従業員が制度を利用しやすい環境を整えることは働き手の満足度やエンゲージメント向上につながります。この項では、時短勤務制度の導入による企業側のメリットとデメリットについて考えてみましょう。

【時短勤務導入のメリット】
・人材確保
時短勤務制度の導入により、女性やシニアなど多様な層からの採用が促進されます。
・離職率の低下
働きやすい環境が整うことで、従業員の満足度が高まり、離職率の低下につながります。
【時短勤務導入のデメリット】
・運営上の課題
時短勤務制度の運用には、人材配置、シフト管理、業務の調整などが必要になります。
よくある質問(FAQ)
- Q時短勤務制度は正社員以外(契約社員・パート)でも利用できますか?
- A
はい。育児・介護休業法では、雇用形態にかかわらず、一定の要件を満たす労働者は短時間勤務制度の対象となるため、契約社員やパートタイマーなどの有期雇用労働者も利用できます。
【主な要件】
・3歳未満の子を養育していること
・1日の所定労働時間が6時間以下ではないこと
・日々雇用される労働者ではないこと
有期雇用労働者の場合は、子が3歳に達する日まで契約が継続する見込みがあることが必要です。
※厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」に基づき整理
- Q時短勤務は子どもが3歳を過ぎると利用できなくなりますか?
- A
法律上、短時間勤務制度の導入が事業主に義務付けられているのは「3歳未満の子」を養育する労働者までです。
ただし、2025年10月の法改正により、「3歳以上小学校就学前の子」については、事業主が個別に働き方の意向を確認し、短時間勤務制度や始業・終業時刻の変更、テレワークなどの柔軟な働き方を選択できる体制の整備が義務化されました。そのため、短時間勤務制度を選択すれば、3歳以降であっても時短勤務を利用できる場合があります。
- Q家族の介護でも時短勤務などの働き方調整はできますか?
- A
はい。家族の介護でも、仕事と両立できるよう企業には働き方調整の制度を整える義務があります。対象家族は、配偶者(事実婚含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母です。
介護には年齢制限はなく、対象家族1人につき、連続する3年以上の期間で2回以上利用できる「短時間勤務等の措置」が設けられています。

時短勤務制度を活用し、従業員満足度の向上に
少子高齢化の進行により人口減少が加速している中で、育児や介護など多様な事情を抱える人材が安心して働き続けられる環境づくりが、企業にとって重要な課題となっています。
近年では、育児・介護休業法の改正により、仕事と育児・介護の両立支援を強化する制度整備が進められました。2025年の法改正では、企業に対し、短時間勤務や柔軟な働き方を可能にする措置の導入など、従業員が家庭と仕事を両立しやすい環境を整備することが求められており、両立支援の取り組みは今後も一層重要性を増していくと考えられます。
子育て中の人や介護を担う人など、さまざまな状況にある労働者一人ひとりがワークライフバランスを実現するためには、時短勤務制度を正しく理解し、適切に活用することが重要です。
時短勤務制度が円滑に活用される職場は、従業員の安心感や働きがいの向上につながります。その結果として離職防止や人材定着にも寄与し、企業の持続的な成長を支える基盤となるでしょう。
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