育児・介護休業法改正への企業対応|社内周知の進め方 ノウハウ

育児・介護休業法改正への企業対応|社内周知の進め方

育児・介護休業法の改正(2025年4月~段階的に施行)に伴い、育児休業制度の見直しや社内周知の重要性は年々高まっています。一方で、「どのように周知すればよいかわからない」「資料作成に時間がかかる」といった課題を感じている人事担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、育児・介護休業制度の社内周知を円滑に進めるためのポイントと、そのまま使える案内文フォーマットをご紹介します。あわせて、2025年の育児・介護休業法改正のポイントについても解説します。

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給与計算業務をアウトソーシング会社に委託する理由

なぜ育児休業の社内周知が重要なのか

育児・介護休業制度は、従業員の働き方やキャリア形成に大きく関わる重要な制度です。ただ、いくら制度が整備されていても、従業員に正しく理解されていなければ十分に活用されません。特に近年は、制度の複雑化や法改正の影響により、企業側にはより丁寧な情報提供が求められています。
たとえば、以下のような課題や懸念が生じる可能性があります。

 ・制度の未認知による未活用  
 ・不公平感の発生  
 ・管理職の誤った対応 
 ・法令違反リスク  

こうした状況を防ぐためにも、正確かつ分かりやすい社内周知が不可欠です。 

介護離職防止のための雇用環境整備・個別の周知・意向確認等

社内周知でよくある課題

人事労務担当者の実務においては、以下のような課題がよく見られます。

 ・制度内容が複雑で説明しづらい
 ・法改正のたびに資料を作り直している
 ・管理職と現場で理解に差がある
 ・周知しても従業員に浸透しない

イノベーションの創出

これらの課題は、情報の整理と伝え方の工夫によって改善が可能です。特に、統一されたフォーマットを用いることで、周知の効率と理解度を高めることができます。

社内向け案内文フォーマットと作成時のポイント

社内周知を効果的に行うためには、制度内容を整理し、社内での確認・整備を行ったうえで、誰にでも理解しやすい形で案内することが重要です。まずは、基本となる案内文の構成を押さえましょう。 

そのまま使える案内文フォーマット

【育児休業制度についてのご案内(例)】

■概要
育児休業制度について、以下のとおりご案内いたします。

■対象者
・育児休業の取得要件を満たす従業員

■主な制度内容
・育児休業の取得
・短時間勤務(時短勤務)制度 など

※適用条件や期間は、対象者や状況により異なります。
 詳細は就業規程(〇ページ)をご確認ください。

■申請方法
・所定の手続きにより申請

※申請方法の詳細は、社内申請フローまたは人事部までお問い合わせください。

■問い合わせ先
・人事部(連絡先)

※就業規程の該当箇所(〇ページ)を添付すると、詳細確認がしやすくなり、問い合わせ対応の削減にもつながります。
※本テンプレートは一般的な例です。実際の運用にあたっては、自社の就業規程および最新の法令をご確認ください。

案内文作成時のポイント

以下のポイントを押さえることで、実務で活用しやすい案内文を作成できます。

 ・詳細を書きすぎず、就業規程への参照を促す
 ・対象者を明確にし、誤解を防ぐ
 ・申請方法と問い合わせ先を必ず明記する
 ・すべての従業員が理解できる簡潔な表現を用いる

▼社内制度の整備や資料の作成に加え、実際の運用面での対応に不安を感じていませんか。時短勤務制度における給与計算の考え方や実務対応のポイントをまとめた資料を、以下よりご覧いただけます。▼

時短勤務制度×給与計算の実務

社内周知の進め方(実務フロー)

社内周知は、単に案内文を配布するだけでは十分とはいえません。適切な手順で進めることで、制度の理解促進と定着につながります。 

① 制度内容・規程の確認:最新の法令、自社規程を確認します。
② 周知内容の整理:制度内容や対象者、運用ルールを整理し、社内周知の内容を確定します。 
③ 従業員への周知:社内ポータルへの掲載やメール配信に加え、必要に応じて説明会を実施します。 
④ 管理職への共有・理解促進:現場対応の質を高めるため、管理職への事前共有と理解促進を行います。 
⑤ 周知後のフォロー:問い合わせ対応や理解度の確認を行い、必要に応じて追加周知を実施します。  

制度運用や社内周知の体制づくりにおいて、「自社だけでの対応に限界を感じる」といったケースも多く見受けられます。勤怠管理や給与計算の運用にお悩みの方は、サービスの詳細もご確認ください。

▼2026年4月より導入された「子ども・子育て支援金制度」について、具体的な計算方法や、制度対応を円滑に進めるための実務上のポイントを紹介した記事です。どうぞご参照ください。▼

2025年4月・10月|育児・介護休業法改正のポイント

2025年|育児関連 改正のポイント

■子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置拡充

【1】子の看護休暇の拡大 
【取得事由】
・(1)病気・ケガの看護、(2)予防接種・健康診断 に加えて、(3)感染症に伴う学級閉鎖等、(4)入卒園・入学・卒業式など学校行事 でも取得可能

【対象となる子の範囲】
・小学校3年生修了までに拡大

行事参加での休暇も可能に

【2】所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
・小学校就学前の子を養育する労働者

【3】短時間勤務(時短勤務)制度の代替措置にテレワーク追加
・3歳未満の子を養育する従業員に対し、テレワーク導入が努力義務化

【4】働き方の柔軟化措置と個別の周知・意向確認義務の新設 
・柔軟な働き方を実現するための措置を複数導入し、従業員が選択できるよう整備 
・制度の個別周知および意向確認が義務化 

【働き方の柔軟化措置|以下から2つ以上選択】 
始業時刻等の変更/テレワーク(10日以上/月)/保育施設の設置運営等/養育両立支援休暇の付与(10日以上/年)/短時間勤務制度(時短勤務) 

【5】仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮の義務 
・妊娠・出産の申出時に、従業員の意向を個別に聴取し配慮することを義務化 

■育児休業の取得状況の公表義務の拡大と次世代育成支援対策の推進・強化

【1】育休取得状況の公表義務の拡大|常時雇用労働者数1,000人→300人以上
【2】『次世代育成支援対策推進法』に基づく「行動計画」策定時における状況把握・数値目標設定の義務付け
【3】次世代育成支援対策推進法の有効期限を10年間延長(2035年3月31日まで)

★次世代育成支援対策推進法とは★
次世代育成支援対策推進法(次世代法)は、2003年7月に成立・施行された、次世代育成支援対策の推進に関する法律。これに基づき、企業は労働者の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」を策定することが定められています
常時雇用する労働者が101人以上の企業は、行動計画を策定し、これを都道府県労働局に届け出ることが義務、100人以下の企業は努力義務です。

2025年|介護関連 改正のポイント

■介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化

【1】介護休暇の取得要件の緩和(継続雇用6カ月未満の除外規定を撤廃)
【2】介護に関する個別周知・意向確認の義務化
【3】相談体制の整備や研修実施など、雇用環境整備の強化
【4】介護を行う従業員へのテレワーク導入を努力義務化

短時間勤務制度の代替措置にテレワーク追加

企業が制度変更時に押さえるべきポイント

企業に求められる対応は多岐にわたりますが、特に以下の点を押さえておくことが重要です。

制度内容の見直し/社内規程の更新/従業員への個別周知・意向確認/柔軟な働き方への対応(テレワーク等)/育休取得状況の管理・公表対応

企業が制度変更時に押さえるべきポイント

▼制度改正や働き方の多様化により、給与計算業務の負担は増加しています。
給与計算業務をアウトソーシングする理由や判断ポイントをまとめた資料を、以下よりご覧いただけます。

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よくある質問(FAQ)

Q
育児休業の社内周知は義務ですか?
A

法令上、個別周知や意向確認が求められるケースがあり、企業には適切な情報提供体制の整備が求められています。そのため、制度内容を従業員に正確に伝える社内周知は、実務上ほぼ必須の対応といえます。

Q
社内周知はどのタイミングで行うべきですか?
A

制度改正時だけでなく、入社時や従業員からの申出時など、複数のタイミングで実施することが望まれます。特に、妊娠・出産の申出時には個別周知が求められるケースもあるため、適切なタイミングでの対応が重要です。

Q
社内周知資料は、どこまで詳しく書くべきですか?
A

社内周知資料では、制度の概要や対象者、申請方法などの基本情報を簡潔にまとめましょう。詳細な条件や個別ケースについては就業規程や人事部への問い合わせに誘導することで、情報の正確性と運用効率を両立できます。

業務負担軽減のためのアウトソーシング活用

育児・介護休業法の改正を受けて、企業には制度の見直しや社内周知の強化がこれまで以上に求められています。従業員への丁寧な情報提供や、管理職の理解を深める取り組みは、現場での運用を左右するポイントです。

また、制度対応や働き方の多様化が進むなかで、人事労務業務の負担が増えていると感じている企業も少なくありません。特に、勤怠管理や給与計算、社内制度対応といった業務は、負担が大きくなりやすい領域です。

jinjer株式会社の調査によると、「介護育児休業法の改正に伴い、最も負担が大きいと感じる業務」は、勤怠管理の調整(出退勤時間・労働時間の管理)と報告されています。次いで、給与計算の複雑化(変動する勤務時間・手当の調整)となっています。

こうした状況においては、アウトソーシングを活用することで、業務を無理なく回していくという選択肢も現実的になってきています。
今回の改正を一つのきっかけとして、社内周知の体制を見直しながら、業務の進め方そのものも整えていくことが大切です。そうした積み重ねが、従業員一人ひとりのライフスタイルに寄り添った、より良い職場環境づくりにつながっていくでしょう。

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