昨今、多くの企業が、顧客対応や社内問い合わせを担うヘルプデスクの運営に頭を悩ませています。問い合わせ件数の増加や対応チャネルの多様化により、現場の業務は複雑化。人的リソースの不足や対応品質のばらつき、さらにはナレッジの属人化も喫緊の課題となっています。
こうした中で注目されているのが、ヘルプデスク業務全体を見直し、効率化を図るというアプローチです。例えば、マニュアル整備や一次対応など、いわば”後方支援”ともなる業務を外部に委ね、担当者が専門性を活かすべき領域に集中できる体制を構築する動きも広がりつつあるようです。本記事では、ヘルプデスクを取り巻く課題を整理しながら、業務の円滑化と負担軽減につながるアウトソーシング活用法をご紹介します。

「ヘルプデスク」とは?業務内容と定義を整理
「ヘルプデスク」とは、ユーザーからの問い合わせに対して、問題解決や情報提供を行うサポート窓口のこと。社内の従業員を対象としたITサポートから、外部顧客に向けた製品・サービスの利用支援まで対応範囲は多岐にわたります。
単なる問い合わせ対応に留まらず、迅速な一次対応、ナレッジの蓄積、再発防止策の提案など業務はますます高度化・多層化しています。企業にとってヘルプデスクは「現場とユーザーをつなぐフロントライン」として、重要な役割を担っているのです。
カスタマーサポートとの違い
ヘルプデスクと混同されがちなのが「カスタマーサポート(CS)」です。両者は共にユーザー対応を担いますが、対象や目的に違いがあります。
◆カスタマーサポート
主に外部の顧客を対象とし、購入後のフォローや満足度の向上を目的とした業務です。
◆ヘルプデスク
社内ユーザーや顧客の技術的な課題を解決することが中心です。特にIT分野では、システムトラブルやアクセス権の管理など、業務の継続性に直結するケースも多く、カスタマーサポートよりも専門的な”技術者寄り”の役割を担います。

ヘルプデスク業務の対象とチャネルの種類
ヘルプデスクの対象は、大きく「社内向け」と「社外向け」に分かれます。
◆社内向け
従業員からのIT機器やアプリケーションの操作方法に関する問い合わせ、システム障害への一次対応など
◆社外向け
製品の設定方法やエラー発生時の対処法といった技術サポートが中心
【 対応チャネルの多様化 】
電話・メールに加え、近年ではチャット、Webフォーム、さらにはSNSやAIチャットボットなどを組み合わせた「マルチチャネル対応」が求められる場面も増加しています。対応する業務領域によって、求められる専門性や即応性も大きく異なります。
アウトソース可能な業務の実例
ヘルプデスク対応の現場では、日々の専門業務に加えて、周辺にはさまざまな定型的・補助的な業務が発生しています。こうした作業の一部を外部に委託することで、業務全体の効率化や応対品質の安定化を図ることができます。以下のような業務は、アウトソーシングによってヘルプデスクの業務負荷を軽減し、より円滑な運営につながります。
【アウトソースしやすい業務の例】
◆マニュアル・FAQの作成支援
専門用語やシステムの使い方など、個別対応されがちな内容を、誰にでもわかる形で文書化。現場内のナレッジ共有や引き継ぎにも活用できます。
◆一次受電・エスカレーション対応(コールセンター)
定型的な問い合わせや初期ヒアリングを一次受けし、内容を整理してヘルプデスクへエスカレーション。対応スピードと精度の向上に寄与します。
◆対応ログの整理・レポート作成
対応履歴や問い合わせ傾向の整理・可視化、レポート資料の作成など、運用改善につながる業務支援も可能です。
※なお、「PCやネットワークの障害対応」「業務システムのトラブル対応」「SaaSの初期設定支援」「製品の技術的な詳細サポート」など、高度な専門知識を必要とする対応については、社内のヘルプデスク担当者が引き続き主導することが一般的です。アウトソーシングは、こうした専門業務を支える体制の一部として、補助的な役割を担う形で活用されるケースが増えています。

なぜ今、アウトソーシングが求められているのか
ヘルプデスクの業務負担を軽減し、専門担当者が本来の業務に集中できる体制を整える手段として、支援的な業務のアウトソーシングを検討する企業が年々増加しています。その背景には、ヘルプデスク業務の環境の変化と現場の切実な課題があります。
DX・マルチチャネル化による対応難易度の上昇
DXの加速により、電話・メールに加えてチャットやWebフォーム、SNSなど、複数チャネルでの問い合わせ対応が求められるようになりました。
対応設計や品質管理はチャネルごとに異なり、全体の運用設計が複雑化します。即時性が求められる電話対応と、文面や履歴管理が重要なチャット・フォーム対応では、必要なスキルや運用ルールも異なります。その結果、現場のマネジメント負荷が増し、体制の最適化が課題となっています。

人材不足と属人化リスクの深刻化
ヘルプデスク業務に必要な人材を社内で安定的に確保することが困難になっています。IT知識や対応経験を備えた人材は流動性が高く、離職や異動のたびにナレッジが分散・喪失してしまうリスクも。その結果、現場では対応する人によって回答がバラバラになるなど、品質のばらつきが顕在化しています。
また、対応が難航した場合のエスカレーション件数が増加し、管理者が対応せざるを得ないケースが多発。結果的に本来戦略業務に注力すべきマネージャー層の負担が増し、全体の運用効率が低下している企業も少なくありません。
コスト最適化とサービス品質の両立ニーズ
近年では「単なるコスト削減」ではなく、「限られた人員・予算の中で、一定のサービス品質を維持する」という現実的な目標が求められています。
例えば、内製ヘルプデスクのコストを見直す中で、対応件数に波があるのに常勤体制を維持している、教育・引継ぎに想定以上の時間がかかっているといった声が多く聞かれます。

こうした背景から、固定費を抑えつつ業務の平準化とスピードを保てる手段として、アウトソーシングが選ばれるようになっているのです。
アウトソーシングで得られるメリット
ヘルプデスクを支援する形で、周辺業務を外部に委託することで得られる効果は多くあります。ここでは代表的なメリットを整理してご紹介します。
対応スピードの向上と運用負荷の軽減
●コア業務への集中
定型作業や初期対応などを外部に任せることで、担当者は専門的な判断や技術対応といった本来の業務に集中しやすくなります。
●欠員リスクの回避
外部パートナーが体制を構築することで、社内人員の異動・退職といった突発的な要因にも安定して対応できます。
●繁閑差への柔軟な対応
繁忙期や問い合わせ急増時でも、柔軟に対応できる体制を整えやすくなります。

アウトソーシング導入時に気を付けたい視点
一方で、外部委託を進めるうえでは、いくつか事前に押さえておくべきポイントもあります。誤解されやすい点やリスクへの対応について整理します。
ナレッジの蓄積・ブラックボックス化への懸念
「外部に任せると中身が見えなくなるのでは」という懸念もありますが、以下のような仕組みを設計すれば、内製以上にナレッジを可視化・蓄積できる環境を整えることも可能です。
・対応マニュアル・FAQの整備
・対応ログやエスカレーション履歴の共有
・業務報告・定例ミーティングの設計 など

セキュリティやコンプライアンスへの対応力
情報を扱う業務においては、セキュリティ水準への対応が欠かせません。近年ではISO27001などの認証を取得しているアウトソーシング事業者も多く、機密性の高い業界においても、十分に管理された環境で業務委託が可能です。運用設計を明確にすることで、安心して活用することができます。
「コストが高いのでは?」という誤解
外注費だけ見ると割高に感じられる場合もありますが、以下のような観点からトータルコストの最適化につながるケースも多くあります。
・内製にかかる人件費や採用・育成コスト
・属人化による対応品質のばらつきと機会損失
・固定費から変動費への転換によるリスク分散

業務を切り出す範囲の見極め
アウトソーシングは、単に業務を「外に任せる」のではなく、現場がより重要な業務に集中できる環境を整えるための手段です。導入の際には、「どの業務を切り出すか」や「何を目的とするか」を明確にすることが、成功のカギとなります。
とはいえ、実際には、「どこから手を付ければよいのか分からない」「何を委託すべきか見えていない」というケースも多いのではないでしょうか。まずは、この部分の相談から始めてみるのも有効です。
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導入前に押さえておきたい料金モデル
アウトソーシングを検討するうえで、委託する業務内容と合わせて把握しておきたいのが「費用の考え方」です。業務の性質や繁閑の差、運用体制の柔軟性に応じて、最適な料金モデルを選ぶことが、費用対効果を高めるポイントになります。
固定制/従量課金制|料金モデルの違い
アウトソーシングの費用体系には、大きく分けて以下の2つがあります。
◆固定制(月額定額型)
あらかじめ想定される対応時間・件数に応じた金額を毎月支払う方式。問い合わせ数の変動が少ない企業や、安定的な体制を求める企業に適しています。
◆従量課金制(成果・件数ベース)
実際の対応件数に応じて課金される方式。繁閑の波がある業態や、まずはスモールスタートしたい企業に向いています。
また、両者を組み合わせた「ハイブリッド型」プランも柔軟に設計可能な事業者も増えています。業務の性質や目的に応じて最適な形を検討しましょう。
ヘルプデスクの負担軽減にアウトソーシングの一手を
ヘルプデスク業務は「止められない業務」である一方で、全てを内製で担い続けることには限界がある――。
そんな声が多くの現場から上がっています。問い合わせ件数の増加や人材不足、ナレッジの属人化といった課題に直面しながらも、現場は日々の対応に追われがちです。
こうした背景から注目されるのが、ヘルプデスク業務を支援する形でのアプローチ。マニュアルの整備や一次対応の窓口設置、対応履歴の整理など、専門領域の支援につながる業務を外部に任せることで、現場の負荷軽減と業務の平準化を実現できるようになります。
~ ヘルプデスク担当者が本来の専門業務に集中できる体制を整えるために ~
「すべてを任せる」ではなく、「必要な部分から切り出す」という視点で、アウトソーシングの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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