事務作業は企業活動のあらゆる場面で必要とされる業務ですが、習慣的にこなしていると非効率が生じやすい分野でもあります。膨大な作業が発生すると単純・重複作業が増え、人件費や時間の無駄を招く原因にもなります。
一方で、事務作業を効率化すれば、部門全体の生産性を大きく向上させることが可能です。作業時間の短縮にとどまらず、従業員のモチベーション向上や、コア業務へのリソース集中といった効果も期待できます。
本記事では、効率化の必要性から改善の手順、効率化を成功に導く具体的な方法まで、体系的に解説します。無駄を減らし、組織の成長を支える効率化のポイントをご確認ください。
事務作業の効率化が必要な理由・メリット
社内の「事務作業」、どれだけ時間がかかっている？
事務作業は、社内外のやり取りを支える基盤であり、受発注や請求処理、書類作成、データ入力、問い合わせ対応など、日々絶え間なく発生します。
ある調査では、事務職が1日のうち約3〜4割の時間をルーティン業務に費やしているという結果もあり、想像以上に時間を奪われている実態が明らかになっています。
こうした作業に追われ続けることで、企画立案や業務改善、人材育成など本来注力すべき業務が後回しになりがちです。非効率な状態が続けばロスが蓄積されるため、事務作業の効率化は喫緊の課題といえるでしょう。
事務作業の効率化がもたらすメリット
●業務時間の短縮
業務を効率化することで作業時間そのものが短縮され、特に残業の削減効果があります。これにより人件費が抑えられ、コスト削減にもつながります。
●従業員のモチベーションアップ
無駄な作業が減り、業務負担が軽減されることで、従業員のワークライフバランスが改善します。その結果、職場への満足度が高まり、モチベーション向上や離職防止にも効果が見込めます。
●生産性の向上による利益の増加
情報の検索・処理スピードが向上し、業務の質も高まります。作業工程の見直しで改善点を発見しやすくなり、重要な業務に集中できる環境も整います。これらが組織全体の成長と利益向上につながります。
非効率な事務作業で起きうるリスク
事務作業の無駄や重複が続くと、さまざまなリスクが発生します。複雑で冗長な作業は現場の混乱を招き、入力ミスや漏れも増えます。また、重複作業が多いと残業の増加や品質低下につながり、チームの士気も下がる恐れがあります。リスクを理解し、改善のヒントを得ることで効率的な体制づくりへと結び付けましょう。
コスト増加と生産性の低下
非効率な作業が続くと残業代が増え、生産性の低下や売上機会の損失につながります。単純作業に時間を取られ、コア業務に割けるリソースが不足する悪循環が起こる可能性があります。
また、定型業務に追われることで新しいアイデアを生む余裕がなくなり、企業のイノベーションや競争力にも影響が及びかねません。
結果として、企業のパフォーマンスや収益面に悪影響を及ぼすため、改善は急務といえるでしょう。
情報漏えいのリスク
業務が複雑化すると、誰がいつどの情報を扱っているのか把握しづらくなります。必要以上のコピーや共有フォルダへの放置が増えると、重要情報の漏えいリスクが高まります。
メールの誤送信や誤ったファイル添付も発生しやすくなり、企業の信頼低下やトラブルにつながる恐れがあります。特に個人情報や機密情報を扱う企業にとっては深刻な問題です。
こうしたリスクを防ぐには、アクセス権の設定や情報取り扱いルールの明確化、一元管理の仕組み作りが効果的です。
従業員のモチベーション低下
単純作業や繰り返し作業が多いと、従業員のモチベーションが低下しやすくなります。特に、業務が属人化している場合は相談もしづらく、ストレスが溜まりやすくなります。 モチベーションの低下が続くと、仕事の質やスピードが落ち、残業や無駄な作業が増える負のスパイラルに陥りかねません。結果的に離職率の上昇や新人育成コスト増加を招きます。
この状況を防ぐには、業務分担の見直しやスキルアップ支援に加え、ツール導入や業務フロー改善による負荷軽減が効果的です。
事務作業の効率化を図るアイデア【個人向け】
事務担当者の多様なタスクを効率的にこなすには、整理整頓やスケジュール管理といった基本が重要です。これらを習慣にすれば無駄が減り、ミスも減少します。
優先順位をはっきりさせ、スケジュールに反映することが必要です。中断や割り込みの対処法も考えておくとスムーズに作業できます。また、パソコンのフォルダ構成や文書管理ルールを定期的に見直すことで、探す時間を減らし重要作業に集中できる環境を作れます。
優先順位を考慮したスケジュール管理
重要なタスクから着手し時間を確保することで効率が上がります。後回しにした業務は期限直前に焦る原因ともなり得ます。タスク管理ツールやカレンダーアプリを使うことで、スケジュールの重複や空き時間の活用が把握しやすくなります。
見通しが立つことによってチーム連携もスムーズになり、共通の目標達成に向けて効率的に動けることが大きなメリットです。
物品やデータの整理整頓
書類は必要最低限に絞りデスク周りを整理すると作業スペースが広がり集中しやすくなります。PC内のデータも同様で、デスクトップやフォルダを用途別に整理し、不要なファイルは削除しましょう。これによりディスクスペースと検索速度の改善につながります。
定期的に整理整頓をする習慣をつけておくと、トラブル時や監査対応の際、必要な情報を迅速に提供でき、周囲からの信頼度も高まります。
PCスキルの向上
ショートカットキーや関数を使いこなせるようになると、一連の事務手続きが驚くほどスムーズに進行します。 PCスキルが上がればチーム全体の生産性が高まり、コスト削減や時間短縮につながります。ツールの利用によるメール送信や報告の自動化も定型業務を軽減します。
社内研修や外部講習を積極的に取り入れ、スキルアップの仕組みを作ることが大切です。習得したノウハウをマニュアル化し、社内で共有することでさらに効率化が進みます。
事務作業の効率を改善する手順
効率化を進めるには計画的な手順で検討・改善することが重要です。まずは現状の課題をできるだけ明確に洗い出し、業務フローの滞りを視覚化すると改善の方向性が見えてきます。
課題が多い場合は優先順位をつけて計画的に取り組みましょう。改善の効果を評価する際は、数値だけでなく現場の声も参考にすると意外な改善アイデアが隠れていることもあります。
可視化による現状の把握
フローチャートや図表を用いて業務の流れを段階的に示し、作業の重複や担当を明確にします。業務時間やコストを数値化すると、改善ポイントが把握しやすくなります。
初期段階での可視化は手間ですが、事後のミスやリスクを減らすために非常に重要です。
課題や問題点を抽出
可視化の結果、属人化したタスクや担当者しか分からないフローが見えてくるかもしれません。こうした暗黙知が多い業務は、放置すると作業内容の把握や引き継ぎが難しくなります。似た作業の重複も見直し対象です。
関係者へのヒアリングで具体的な課題を把握し、実行可能な解決策を共に考えるのが効果的です。
改善策を実行
課題を整理し、優先度の高いものから改善策を実施します。大きなシステム導入が必要な場合もあれば、小さな改修やツールの導入で対処できるケースもあるでしょう。スケジュール管理を厳密にし、関係者と連携しながら段階的に進めることでトラブルを最小限に抑えられます。
また、作業手順の変更だけでなく従業員の意識改革も重要です。周知・教育を十分に行い、現場の合意を得て進めましょう。
改善結果の振り返り
効果測定は導入前後の時間やコストの変化を数値で比較するのが基本です。成果が目に見えると継続的なモチベーション維持につながります。同時に、従業員の声や顧客からのフィードバックも確認し、業務のスムーズさやトラブルの減少をチェックしましょう。
結果を共有することで次の改善策や新たなツールの導入計画が立てやすくなります。
事務作業の効率化を成功に導く具体策
デジタルツールなどを活用することで、作業の負荷を大幅に軽減できる可能性があります。紙の作業を減らし、業務を標準化・自動化すれば、重要な業務に集中できる環境が整います。
また、業務マニュアルの整備を行うことで属人化を防ぎつつ、スキルを要する業務に時間を割くことが可能になります。DX （デジタルトランスフォーメーション） の推進は、組織全体の強化にもつながります。
ペーパーレス化
紙の書類を電子化することで、保管スペースやファイリングにかかる時間を削減できます。必要書類を検索や共有する際にも迅速に対応でき、誤廃棄や紛失のリスクも低減します。クラウドストレージなどを活用すれば、社内外からアクセスできるため、リモートワークでも対応可能です。同時にバックアップ体制を整備することで、BCP対策、災害時のリスクヘッジにもなります。
ペーパーレス化を進めるにあたっては、電子承認ツールや電子印鑑サービスを導入し、紙の手続き自体をデジタル化する仕組みを確立することが重要です。
業務マニュアルの作成
新入社員や異動者が増えると、引き継ぎに時間がかかることがあります。しかし、標準化されたマニュアルがあれば、属人化を防げるだけでなく、誰でも同じ手順で業務を進めやすくなります。
マニュアルは細かいステップや注意点を書き留めておくだけでなく、実例や画面キャプチャを使って分かりやすさを追求しましょう。更新も定期的に行い、実態と乖離しないよう心がける必要があります。
全体の業務フローが可視化されていると、次に何をすべきかが一目瞭然となり、トラブル発生時の対応の円滑化、研修での教育コスト削減にもつながります。
誰もが使えるマニュアルで、生産性向上を実現！ BODの「マニュアル作成・管理代行サービス」
デジタルツールを用いた業務の自動化
クラウド型の業務管理ツールやSaaSを活用することで、事務作業の効率化やミスの軽減につながります。また、人が行う定型業務を自動化するRPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）の技術も効率化する手法の一つとして注目されています。
さらに、タスク管理ツールの利用は、進捗確認や担当者へのリマインドを自動化し、コミュニケーションを円滑にできます。複数のチャットツールやプロジェクト管理ツールを連携させれば、情報共有の漏れや重複確認の手間を減らせるでしょう。
これらのデジタルツールは導入時にコストがかかる場合もありますが、長期的には人件費やミスによる損失を大幅に抑え、組織の競争力向上に貢献します。
アウトソーシングを活用して、効率化！
アウトソーシングは、企業が自社で抱えるすべての業務を処理する必要がないという前提に立ち、効率化を実現する手段の一つです。特に、業務量が多く、標準化された作業は外部委託しやすく、コスト削減と生産性向上の両立が図れます。
たとえば、データ入力・スキャン業務・帳票の仕分け・郵送対応・電話受付・メール対応・各種事務処理などは、アウトソーシングの代表的な対象業務です。これらを専門業者に委託することで、自社のスタッフは経営戦略や企画立案など、より高度な判断を要する業務に集中できるようになります。また、繁忙期やプロジェクト単位で必要なリソースを柔軟に確保できる点も大きなメリットです。必要な時期だけ契約することで、常時人員を抱えるコストや教育コストを抑えられます。
事務作業の効率化を社内で段階的に進めるには、現状分析やフロー設計などの手間や時間がかかります。しかしアウトソーシングであれば、PDCAサイクルを自社で一から回すことなく、外部にまるごと任せることが可能です。改善提案やレポート提出なども含めてトータルで支援してもらえるため、よりスムーズに業務の最適化を図れます。
ただし、委託先の選定や契約条件、セキュリティ対策については慎重に管理する必要があります。個人情報や社内データを扱う場合は、情報漏えいリスクを見越したルールづくりと、信頼できる委託先の選定が重要です。
事務作業を見直し、アウトソーシングの力を取り入れることで、日々の負担が軽減され、組織全体の生産性や成長力を高めることができます。まずは、社内で手を離しても問題のない業務から、外部委託を検討してみてはいかがでしょうか。
BODの「アウトソーシングサービス」
知識豊富な専門チームが 柔軟にサポート！
大量に発生する単純作業や定型業務をアウトソーシングすることで、本来取り組むべきコア業務に時間を充てられるよう、BODが支援いたします。
