2023年の年末調整はどう変わるのか?4つの変更ポイント バックオフィス

2023年の年末調整はどう変わるのか?4つの変更ポイント

「税制改正」のポイントを分かりやすく解説!

近年、年末調整に関わる法改正は頻繁におこなわれています。
制度の変更や書式の変更を見逃さないためにも、早いうちから情報収集をおこなうことが大切です。
今回、2023年度(令和5年度)の年末調整において、すでに書式変更や法改正が決まっているものについて紹介していきます。
人事労務業務を担当されている方の、2023年の年末調整業務の備えになれば幸いです。

税制改正で2023年の年末調整はどう変わる?

非居住者である扶養親族に係る扶養控除の適用要件の変更がスタートします。

所得税法の扶養控除の対象となる親族について、2022年の税制改正で要件の変更がありました。2023年分以後の所得税について適用されるため、扶養控除等申告書提出の際には注意が必要です。内容としては、国外に住居する「非住居者」の親族のうち、「30歳~70歳未満」が扶養家族の範囲から除外されます。

ただし、留学生や障がい者、扶養控除の適用を受けようとする居住者から年間38万円以上の生活費や教育費の送金を受けている者は通常の扶養控除対象となります。

◆ 改正前

非居住者である扶養親族 16歳以上
扶養控除対象 全員

◆改正後

非居住者である扶養親族 16歳〜29歳 30際〜69歳 70歳以上
扶養控除対象 全員 留学生、障がい者、38万円以上の送金を受けているもの 全員
扶養控除対象外 上記以外のもの

また、非居住者である扶養親族が30歳以上70歳未満の場合の源泉徴収事務における確認書類は下図の通りとなります。

◆ 非居住者である扶養親族が30歳以上70歳未満の場合の源泉徴収事務における確認書類

留学生 障がい者 38万円以上の送金を受けているもの
確認書類 留学ビザ等相当書類 38万円以上の送金確認書類
確認時期 扶養控除等申告書を受領する時 年末調整をおこなう時

扶養家族の適用範囲変更に伴い、提出様式の変更が予定されています。それぞれ、フォーマットとあわせて変更点を紹介します。

チェック① 令和5年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

扶養家族の範囲変更にともない、チェック欄が用意されています。

税制改正で2023年の年末調整はどう変わる?

チェック② 令和5年分 従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書

扶養家族の範囲変更にともない、「非住居者である親族」欄が修正されています。

令和5年分 従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書

チェック③ 令和5年分 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

扶養家族の範囲変更にともない、「控除対象親族」区分のうち、「非住居者である親族」欄が修正されています。※1
また「住民税に関する事項」の「16歳未満の扶養親族」欄にある、「控除対象外国外扶養親族」欄も修正されています。※2
加えて、新たに「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」欄が設けられています。※3
「退職手当等を有する配偶者・扶養親族」に該当する人の「氏名」等の各項目※3、「寡婦又はひとり親」欄が追加されています。※4

令和5年分 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

チェック④ 令和5年分 給与所得者の源泉徴収簿

「扶養控除等の申告」欄が「扶養控除等の申告・各種控除額」へと変更されるとともに、扶養控除等の各種控除額の記載が追加されています。

令和5年分 給与所得者の源泉徴収簿
◆参考

● 国税庁 各種申告書・記載例
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/shinkokusyo/index.htm

● 令和4年4月 源泉所得税の改正のあらまし(PDF/369KB)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/002200

年末調整の負担を劇的に減らし、労務の生産性を向上させるには?

年末調整の電子化をオススメします!

会社側のメリット

法改正にもすぐに対応してくれるシステムが多いため安心!

最新の法改正に対応している年末調整システムが多いため、国税庁が推奨する環境での年末調整業務が実現します。頻繁に発生する法改正のキャッチアップをシステムに任せることで、業務効率化に繋がります。

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担当者の作業負担軽減

書面による手続きの場合の担当者の大きな負担は、申告書に添付された原票と各控除申告書の内容の確認作業です。
しかし、データによる申告の場合、ソフトウェアによって自動で控除額の計算や集計が行われます。そのため、作業の手間も軽減され、申告書の正確性が飛躍的に向上します。正確な申告により、従業員への修正依頼や問い合わせ対応の業務負担の軽減も期待できます。

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ペーパーレスでの管理

紙の書類に関する保管場所の確保も不要となり、オフィスのスペースを圧迫しません。

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年末調整手続き電子化のデメリット

導入の準備が必要

自社にあった運用方法や従業員の使いやすさなどを考慮し、選定しなければなりません。
また、年末調整の申告データを従業員の給与に反映する必要があるため、自社で導入している給与システムに対応しているかの確認も行います。電子データに移行することで、作業の軽減や保存スペースの用意が不要となりますが、導入段階での準備に時間がかかってしまいます

導入の準備が必要

従業員への周知

年末調整電子化に対応するために、従業員に対して仕組みや手続き方法を熟知させる必要があります。
紙媒体での申告書作成より簡素化できるものの、ITに詳しくない従業員や電子データによる保存に抵抗を抱えている従業員に対して、十分な説明が求められます。

従業員への周知

まとめ

近年、年末調整に関わる法改正は頻繁に行われており、人事労務業務を担当されている方の負担になっています。
年末調整の負担を劇的に減らし労務の生産性を向上させるには、電子化がおすすめです。
今回お伝えしたメリット・デメリットを参考に、年末調整の電子化を検討してみてはいかがでしょうか?

BODの年末調整代行サービスは、年末調整における各種申告書のチェックやデータ作成、不備・督促対応やファイリングなど、毎年スポットで発生する年末調整業務を代行します。
BODでしたら、電子化のデメリットにございました「システムの導入準備」や「従業員への周知」についてもサポートいたしますので、安心してご相談ください。

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