クラウド導入支援とは?失敗しないための基礎知識と選び方ガイド バックオフィス

クラウド導入支援とは?失敗しないための基礎知識と選び方ガイド

近年、企業のITインフラは急速にクラウド化が進んでいます。2020年代に入ってからクラウドサービスを利用する企業の割合は年々増加し、総務省の調査(※1)によれば、2024年にはその利用企業は8割を超えていると報告されています。クラウドを活用することで、業務の効率化、コスト削減、柔軟な働き方の実現、BCP(事業継続計画)対策など、さまざまなメリットが得られます。

ただ、クラウド導入は単なる「サーバーの引っ越し」ではありません。自社の業務やシステムに最適なクラウド環境を設計し、セキュリティや運用体制を整え、継続的に改善していく必要があります。こうした背景から、クラウド導入を成功させるために、専門的な知識と経験を持つ「クラウド導入支援事業者」の存在が重要になってきています。

本記事では、クラウド導入支援の基本的な考え方から、導入時の検討ポイント、支援事業者の選び方を詳しく解説します。
(※1)■ 総務省「令和6年通信利用動向調査(企業編)」 

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クラウドシステム導入支援サービス

なぜクラウド導入は難しいのか?

クラウドは「導入すればすぐに使える」「オンプレミスより簡単」といったイメージを持たれがちですが、実際には導入段階でつまずく企業が多いようです。その理由は、クラウド導入が単なる技術的な作業ではなく、業務プロセスや組織体制、セキュリティポリシーなど、企業全体に関わる変革を伴うからです。

クラウドサービスの選定が難しい 

クラウドサービスには、SaaS(Software as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)といった種類があり、提供ベンダーも多岐にわたります。自社の業務に最適なサービスを選定するには、業務要件とクラウドの特性を正しく理解する必要があります。

クラウドサービスの選定が難しい

▼SaaSについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。▼

既存システムとの連携・移行の複雑さ

オンプレミスで稼働している既存システムをクラウドに移行する際、データベースの構造やアプリケーションの互換性、ネットワーク構成など、さまざまな技術的課題が発生します。特にレガシーシステムを抱える企業では、移行に伴うリスクやコストが大きくなりがちです。

レガシーシステム
老朽化のうえ、肥大化、複雑化し、ブラックボックス化したシステムのこと。DX推進を阻む要因とされています。 

セキュリティとガバナンスの設計

クラウド環境では、アクセス制御、暗号化、ログ管理、監査対応など、セキュリティ対策を自社で設計・実装する必要があります。また、クラウドベンダーとの責任分界点を理解し、適切なガバナンス体制を構築することも求められます。

責任分界点
トラブル発生時にクラウド事業者と利用者(ユーザー)の間で責任が及ぶ範囲を切り分ける境界のこと。

運用・保守の体制構築

クラウドは導入して終わりではなく、継続的な運用・保守が必要です。リソースの最適化、障害対応、セキュリティパッチの適用、コスト管理など、日々の運用業務を安定して行うための体制が不可欠です。

なぜクラウド導入は難しいのか?運用・保守の体制構築

クラウド導入支援サービスとは?

こうした課題を解決するために、多くの企業が活用しているのが「クラウド導入支援サービス」です。これは、クラウド導入に必要な計画立案から設計・構築、移行、運用支援までを必要に応じてサポートするサービスであり、ITベンダーやシステム開発会社、業務支援事業者など、さまざまな事業者が提供しています。

主な支援内容

クラウド導入支援サービスの内容は事業者によって異なりますが、一般的には以下のようなフェーズに分かれます。

導入コンサルティング:現状分析、要件定義、クラウド選定、PoC(概念実証)など
設計・構築:ネットワーク設計、セキュリティ設計、クラウド環境の構築
移行支援:データ移行、アプリケーション移行、テスト、切り替え
運用支援:監視、障害対応、パフォーマンスチューニング、コスト最適化
教育・定着支援:社内向けトレーニング、マニュアル作成、運用ルール策定 

支援の形態

支援の形態も多様で、プロジェクト単位での支援月額契約による継続支援スポット対応など、企業のニーズに応じた形を検討することができます。また、クラウドベンダーとパートナー契約を結んでいる事業者の場合、最新の技術情報やベストプラクティスを踏まえた支援が提供されるケースもあります。

クラウド導入支援サービスとは?  支援の形態

▼BODの「クラウドシステム導入支援サービス」詳しくはこちら▼

導入支援を依頼すべきか?内製すべきか?

クラウド導入を外部に委託すべきか、内製で進めるべきかは、企業のITリソースや戦略によって異なります。以下に、判断のポイントを整理します。

外部委託が向いているケース

■社内にクラウドの専門知識を持つ人材がいない 
中小企業や非IT系企業では、クラウドに関する知識や経験を持つ人材が社内にいないケースが多く見受けられます。クラウド導入には、ネットワーク設計、セキュリティ設定、データ移行、運用設計など多岐にわたる専門知識が必要です。こうしたスキルを短期間で社内に育成するのは現実的ではないため、外部の専門家に依頼することで、導入の品質と安全性を確保できます

社内にクラウドの専門知識を持つ人材がいない 

■短期間で導入を完了させたい 
新規事業の立ち上げや、老朽化したシステムのリプレイスなど、導入に時間的な制約がある場合、外部委託によってプロジェクトを迅速に進めることが可能です。支援事業者は過去の導入実績やテンプレートを活用し、最短での導入が期待できます。

■既存システムが複雑で、移行に高度な技術が必要
レガシーシステムやオンプレミスの独自開発システムをクラウドに移行する場合、単純な「コピー&ペースト」では済みません。アプリケーションの再設計やデータベースの変換、API連携など、技術的なハードルが高くなります。こうしたケースでは、クラウド移行の実績が豊富な事業者のノウハウが不可欠です。

■セキュリティや可用性に高い水準を求める
金融、医療、教育など、情報の機密性やシステムの可用性が特に重視される業界では、クラウド環境の設計・構築に高度なセキュリティ対策が求められます。外部の支援事業者であれば、業界ごとのセキュリティ要件や法令への対応、情報セキュリティに関する各種基準(例:ISMS など)を踏まえた設計・運用の支援が可能です。

セキュリティや可用性に高い水準を求める 

ISMS
情報セキュリティマネジメントシステムの略称。情報セキュリティを管理する仕組みが国際規格に適合していることを示す認証。

BODでは、お客様の大切な情報を安心してお預けいただけるよう、Pマーク(プライバシーマーク)およびISMSの両方の認証を取得し、情報管理体制の強化に取り組んでいます。
株式会社BOD「QMS・ISMS方針」

情報管理体制の強化

内製が向いているケース

■社内にクラウドエンジニアが在籍している
クラウドサービスの設計・設定・運用に関する知識や実務経験を持つエンジニアが社内にいる場合、クラウド導入を内製で進めることが可能です。自社の業務やシステム構成を熟知している社内人材であれば、要件定義から設定、運用までを一貫して対応でき、外部委託に比べて柔軟かつスピーディな対応が期待できます。

社内にクラウドエンジニアが在籍している

■長期的に自社で運用・改善していきたい 
クラウドシステムは導入して終わりではなく、運用・改善を継続していくことが重要です。内製化することで、社内にノウハウが蓄積され、将来的なシステム拡張や新規サービスの立ち上げにも柔軟に対応できます。また、外注に比べて運用コストを抑えられる可能性もあります。

■セキュリティポリシー上、外部委託が難しい
一部の業界や企業では、情報管理の観点から外部委託が制限されている場合があります。たとえば、顧客情報や機密データを扱う業務では、外部の第三者にアクセス権を与えること自体がリスクとなることも考えられます。こうした場合は、社内での運用体制を整え、内製でクラウド導入を進める必要があります。

■社内のIT部門を戦略的に強化したい
クラウド導入を通じて、社内のIT部門を単なる「保守部門」から「事業推進部門」へと進化させたいと考える企業も増えています。内製化によって、IT部門がクラウド技術を活用した業務改善や新規事業の立ち上げに貢献できるようになれば、企業全体の競争力向上にもつながります。  


クラウド導入において、外部委託と内製のどちらが「正解」ということはありません。
重要なのは、自社の現状と将来像を踏まえたうえで、最適なアプローチを選択することです。たとえば、初期導入は外部の支援を受けてスムーズに立ち上げ、その後の運用フェーズで徐々に内製化を進める「段階的内製化」も有効な戦略です。

導入支援を依頼すべきか?内製すべきか?

また、導入フェーズは外注、運用フェーズは内製というように、フェーズごとに役割を分担する「ハイブリッド型」のアプローチも多くの企業で採用されています。これにより、導入のスピードと品質を確保しつつ、社内にノウハウを蓄積することが可能です。

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クラウド導入支援事業者を選ぶポイント

クラウド導入支援を成功させるためには、信頼できるパートナーの選定が不可欠です。以下5つの観点で事業者を比較・検討しましょう。

(1)どこまで任せられるか(提供範囲)  
(2)誰が担当するか(スキルと体制)  
(3)どんな実績があるか(事例と信頼性)  
(4)いくらかかるか(費用と価値)  
(5)どれだけ支えてくれるか(サポート体制) 

提供可能なサービスの範囲

~どこまで任せられるかを明確に~
クラウド導入支援事業者を選ぶ際、まず確認すべきは「どのフェーズまで対応可能か」という点です。クラウド導入は、単にシステムをクラウド上に構築するだけでなく、以下のような複数の工程を含みます。

・現状分析・要件定義(導入コンサルティング)
・クラウドサービスの選定と設計
・環境構築・セキュリティ設計
・データ・アプリケーションの移行
・運用・監視・保守
・社内教育・マニュアル整備

 提供可能なサービスの範囲 ~どこまで任せられるかを明確に~

導入から運用までを一貫して支援する 「フルスタック型(全工程対応型)の事業者もあれば、特定フェーズ(例:構築のみ、移行のみ)に特化した「スポット型の事業者も存在します。

特に重要なのは、導入後の運用フェーズまで見据えた支援が受けられるかどうかです。クラウドは導入して終わりではなく、実際の業務の中で使われ定着し、改善されていくことで初めて価値を発揮します。

事業者によっては、クラウドシステムの設定や移行だけでなく、その後の業務運用(例:勤怠管理や給与計算など)まで含めて支援しているケースもあります。自社がどこまでの支援を求めているのかを整理したうえで、対応範囲を確認しましょう。

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エンジニアのスキルと体制 

~技術力とプロジェクト遂行力の両立がカギ~
クラウド導入の成否は、担当するエンジニアのスキルに大きく左右されます。以下のような観点で、事業者の技術力と体制を見極めましょう。

エンジニアのスキルと体制 ~技術力とプロジェクト遂行力の両立がカギ~

■技術資格の保有状況
クラウド導入支援では、対象システムや領域に応じた専門知識を持つ人材が関与しているかを確認することが重要です。特に、システム設定やデータ移行、業務運用までを理解した支援体制があるかどうかが、導入成功のポイントになります。

■実務経験と専門性
資格だけでなく、実際の導入・運用経験が豊富かどうかも重要です。特に、業界特有の要件(例:医療、金融、教育など)に対応した経験があるかを確認すると、より安心です。

■プロジェクト体制のバランス
クラウド導入は、単なる技術作業ではなく、プロジェクトマネジメントやセキュリティ設計、業務理解など多面的なスキルが求められます。プロジェクトマネージャー、セキュリティエンジニア、業務コンサルタントなど役割分担が明確で、チームとして機能しているかを確認しましょう。

過去の実績と事例

~自社に近い成功事例があるかを確認~
事業者の信頼性を判断するうえで、過去の導入実績や事例は非常に重要な情報源です。以下のような観点で確認しましょう。

過去の実績と事例~自社に近い成功事例があるかを確認~

■同業種・同規模の実績
自社と同じ業界・業種、あるいは同規模の企業への導入実績があるかを確認しましょう。業界特有の業務要件や法規制に対応した経験がある事業者であれば、スムーズな導入が期待できます。

顧客の声・インタビュー記事
導入企業の担当者によるインタビューや導入事例が公開されている場合、その事業者の対応力や信頼性をより具体的に把握できます。可能であれば、事前に導入企業に問い合わせて評判を確認するのも有効です。

■公的機関・大手企業との取引実績
官公庁や大手企業との取引実績がある事業者は、一定のセキュリティ基準や品質管理体制をクリアしている可能性が高く、安心感があります。

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費用(コストパフォーマンス)

~単なる価格比較ではなく、成果とのバランスを重視~
クラウド導入支援の費用は、事業者によって大きく異なります。価格だけで判断せず、「支払う金額に対して、どれだけの価値が得られるか(コストパフォーマンス)」を重視しましょう。

費用(コストパフォーマンス)~単なる価格比較ではなく、成果とのバランスを重視~

■費用の内訳と透明性
初期費用、月額費用、オプション費用など、料金体系が明確に提示されているかを確認しましょう。見積もりの段階で不明瞭な項目が多い場合、後から追加費用が発生するリスクがあります。 

■成果報酬型・従量課金型の柔軟性
一部の事業者では、成果報酬型(例:コスト削減額に応じた報酬)や、従量課金型(例:作業時間やリソース使用量に応じた課金)など、柔軟な料金体系を採用しています。自社の予算や導入目的に応じて、最適な契約形態を選びましょう。 

■補助金・助成金の活用に関する情報提供
クラウド導入に関する補助金(例:IT導入補助金(※2)、事業再構築補助金(※3)など)を活用することで、実質的な導入コストを抑えられる場合があります。事業者によっては、こうした制度の概要や活用可否について情報提供を行っていることもあるため、導入検討時に確認しておくとよいでしょう。

(※2)経済産業省 中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金」「IT導入補助金制度概要
(※3)経済産業省「事業再構築補助金

サポート体制と対応スピード

~導入後の安心感を左右する重要要素~
クラウド導入後の運用フェーズでは、日々の運用に関する相談対応や改善提案など、継続的なサポートが不可欠です。以下の観点で、事業者のサポート体制を確認しましょう。

サポート体制と対応スピード ~導入後の安心感を左右する重要要素~

■担当者の固定・継続性
導入後も同じ担当者が継続して対応してくれるか、あるいは業務理解が引き継がれたチーム体制が構築されているかは、運用の安定性に大きく影響します。担当者が固定されていれば、業務背景や運用ルールを踏まえたスムーズな対応が期待できます。 

■改善提案や定期的なフォローの有無
単なる問い合わせ対応にとどまらず、運用状況を踏まえた改善提案や、定期的なフォローがあるかどうかも重要なポイントです。業務に即した視点での見直しや改善が行われることで、クラウドシステムをより効果的に活用できます。 

■SLA(サービスレベルアグリーメント)の考え方
クラウド導入後の運用を考えるうえでは、SLA(サービスレベルアグリーメント)の考え方を理解しておくことも大切です。万が一障害が発生した場合に、どの程度の時間や影響を想定しておくべきかを整理する際の指標として、復旧目標時間(RTO)データ損失許容時間(RPO)といった概念があります。 

RTO(Recovery Time Objective)
障害やトラブルが発生してから、どこまでの時間内にシステムを復旧させる必要があるかという目標時間 

RPO(Recovery Point Objective) 
障害発生時に、どの時点までのデータ消失であれば業務上許容できるかを示す目安 

これらの視点をもとに、複数の事業者を比較・検討し、自社の目的や体制に最も合った支援パートナーを選びましょう。 

▼SLAなど、アウトソーシングにまつわる関連用語集はこちらから▼

アウトソーシング関連用語集

よくある質問(FAQ)

Q
導入済みのシステムの連携がうまくいっていません。調整できますか?   
A

導入済みシステムの再調整も可能な事業者が一般的です。
専門スタッフがシステム間の相性や設定状況を確認し、必要に応じて改善提案を行うケースもあります。BODでは、こうした観点からの確認・ご提案が可能です。お気軽にご相談ください。

Q
導入支援にかかる期間はどの程度でしょうか? 
A

規模や対象システムによりますが、比較的シンプルなSaaS導入であれば1〜3カ月程度が目安です。

▼BODの「クラウドシステム導入支援サービス」▼

▼クラウドシステムは導入して終わりではなく、定着し、改善されていくことで価値を発揮するものです。こちらの記事もぜひご覧ください。▼

導入支援で、安心・確実なクラウド活用を 

クラウド導入は、企業の成長や競争力強化に欠かせない重要な取り組みです。しかし、導入の難易度やリスクを考慮すると、信頼できる支援事業者のサポートを受けることが成功の鍵となります。

自社の目的や体制に合った支援パートナーを選び、クラウドの力を最大限に活用しましょう。導入支援を通じて、単なるITインフラの刷新にとどまらず、業務改革や新たなビジネスモデルの創出へとつなげていくことが、これからの企業に求められる姿です。

システム選定のご相談から、導入に伴う各種データ加工、設定作業を代行し、運用の伴走支援まで行います。
【お客様の声】
「膨大な量の設定処理を本当に根気強く対応していただきました」 
「勤怠と給与形態が複雑でシステム利用に向かない状況と考えていましたが、設定を代行していただき運用できるようになるとは奇跡のようです」 
「丁寧なヒアリングで、業務工程の棚卸を実施していただきました。自社の業務を見直す貴重な機会でした」

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